最近、尿の出が悪い、夜中に何度もトイレに起きる、ということはありませんか? 熟年男性によく見られる前立腺肥大症。「年のせい」とあきらめは禁物です!
前立腺肥大症とは?
【男性特有の器官 ~前立腺~】
前立腺とは、精液の一部をつくっている男性特有の臓器。ぼうこうのすぐ下(出口付近)に位置し、成人では約20グラム程度、クルミくらいの大きさで尿道をぐるりと取り囲んでいます。
この前立腺が肥大し、尿道が圧迫されて尿が出にくくなるのが「前立腺肥大症」です。
【排尿の異常、ありませんか?】
前立腺肥大症には第1期から第3期までの症状があります。
第1期 刺激症状期
夜間にトイレに行く回数が多くなる、尿の勢いがない、尿がすぐ出ない、少ししか出ない、時間がかかる(排尿障害)などの症状が出てくる。
第2期 残尿発生期
尿をした後もすっきりとせず残っているような感じがする(残尿感)といった症状が出てくる。
第3期 慢性尿閉期
昼夜を問わずトイレに行く回数が増えて、排尿にかかる時間が長くなり、一回の排尿に数分かかるようになる。時には尿が全く出なくなってしまうこともある(尿閉)。
【男性の更年期症状!? ~前立腺肥大と年齢~】
前立腺肥大症は年齢と深い関係にあります。40・50代で症状が出始め60歳を過ぎると、半数以上の人が夜間のトイレの回数が多くなり、放尿する力の低下を訴えます。そして、80歳までには80%の人が前立腺肥大症になるといわれます。程度の差こそあれ、高齢の男性にほぼ全員発症するため、男性の更年期症状、老化現象の一種という見方もできます。
ガンなどとは違って生命にかかわるような病気ではありませんが、放っておくと尿閉といって尿が全く出なくなることもあります。
前立腺肥大症につかう薬
は、早期であれば薬による治療となります。
早めに治療を受けるほど症状の改善が期待できます。
◆抗男性ホルモン剤
→ 肥大した前立腺を小さくします。
例)プロスタール、パーセリンなど
◆排尿困難(尿が出にくい)・尿閉(尿が出ない)を改善する薬
→ ぼうこう出口の緊張を解いて尿を出しやすくします。
例)ハルナール、ミニプレス、フリバスなど
◆尿失禁・頻尿(おしっこが近い)を改善する薬
→ ぼうこうを広げて尿の回数を減らします。
例)ポラキス、バップフォーなど
◆植物成分が配合された薬
→ 排尿困難(尿が出にくい)や頻尿(おしっこが近い)の症状を改善します。
例)ハルーリン、エビプロスタット、セルニルトンなど
◆漢方薬
→八味地黄丸や牛車腎気丸などが用いられます。
こんな薬にご用心 -症状を悪化させる薬-
かぜ薬、胃腸薬、アレルギー用薬、抗うつ薬 などは症状を悪化させる場合があります。薬の服用には十分注意が必要です。
他の薬を服用の際には医師または薬剤師にご相談下さい。
症状を悪化させないための注意
前立腺およびぼうこう、尿道への刺激を繰り返していると、症状がでやすいといえます。
次のような行動に注意しましょう。
1. 排尿をがまんしない。
2. 便秘にならないようにする。
3. 長時間座ったままの姿勢を続けない。
4. 水分をとるようにこころがける。
5. アルコールはひかえる。
6. 刺激の強い香辛料はさける。
おかしいなと感じたら、早めの検査を!
排尿に少しでも異常を感じたら、早めに診察を受けることが大切です。おかしいと思いながら受診するのをためらっていると、腎盂腎炎や水腎症など腎臓障害を起こす恐れがあります。
50歳代からは定期的なチェックがおすすめです。最近増えている前立腺がんの早期発見にもつながります。
<参考文献>
ポケット医薬品集、処方がわかる医療薬理学、調剤と情報2002.1月号、
ホームページ:Yahoo ヘルスケア前立腺肥大、明るい泌尿器科計画、前立腺肥大症は恐くない、
医学情報健康サイト、前立腺肥大症-気になる病気